たやすく涙を流せるならば たやすく痛みもわかるだろう
けれでも人には笑顔のままで 泣いてる時もある
(song by中島みゆき『いのちの別名』)
是枝監督の最新作『怪物』見ました。見る前は『ロストケア』のほうが監督好みの題材なんじゃないのかな?とも思ったが。カンヌで脚本賞を取っただけあり見ごたえはありましたな。
カンヌ映画祭 是枝裕和監督の「怪物」で 脚本家 坂元裕二さん脚本賞 | NHK | エンタメ
坂元さんが脚本賞を受賞したことについて、是枝監督は会見で「4年近くかけて脚本を練って何度も坂元さんたちと意見交換をし、ふだん以上に脚本の隙がなくなった」と述べ、作品を綿密に仕上げてきたことを明らかにしました。
本当に脚本が見事としか言いようがない。どうやら是枝監督は脚本をあまりいじくらなかったようです。タイトルの『怪物』はミスリードぽいなと思ったら最初のタイトルは『なぜ』だったみたいで(どうりで。だって観客は犯人探しに夢中になるもの)。
是枝監督は映画『フランケンシュタイン』が大好きで怪物のフィギュア何体も持ち込んでいるくらいだから(ドンダケ好きなんだ?)タイトルを『怪物』にしたのかもしれないなぁ。だって『フランケンシュタイン』のオマージュ入ってるもん。
ようつべで『怪物』レビューいくつか見ましたが高評価が多く。その中でも『フランケンシュタイン』『銀河鉄道の夜』オマージュだと言うのも見つけ。
『フランケンシュタイン』のことを言ってるのは2つの動画だったんですがAさんは映画をBさんは原作のことを言ってるんですね(同じ作品ながらアプローチの仕方が違うのでコレは面白いと思った。どうやら原作のほうが3部構成になっていて『怪物』に近いらしい)。
『羅生門』形式とよく言われますが。どちらかといえば湊かなえ『告白』『母性』に近いと思われ。映画も『母性』みたいに「母の証言」「娘の証言」としてくれたほうがもっとわかりやすかったかな(イキナリ時間軸が戻るから混乱しちゃったよ)。
冒頭は火事のシーンから始まるのですが。星川君が放火したような演出で。なんかミスリードぽいなぁ(曖昧にしてるので見る人によって色んな解釈できるが)。自分も最初は「ビルに火を点けたのは星川君?」と思ったのですがよくよく考えると彼じゃないような気もして。ほとんどの人が星川君犯人扱いだったけどw。
- 繁華街に小学生がチャッカマン持って怪しまれないか?
- 燃えてたのはビルの上の方だけだからエレベーターに乗らなきゃならない。
- 仮に火を点けたとしてもすぐに発見されてボヤ程度なのでは?客も居るんだし。
- 灯油かガソリンまかなきゃそこまで燃えないだろ。果たして小学生にそんなこと出来る?
- 放火よりもキッチンの不祥事から(お店の中から)火事になったほうが火のひろがり具合から合点がいくのでは?
てな感じで星川君放火説はピンとこないんですよ。良い子そうだし。「お酒は体に悪いんだよ」は犯行を認めたという表現じゃないしなぁ。
この作品のキモはコミュニケーション不足から起こる悲劇。学校側の態度も最初から湊ママをモンペ扱いにして謝るだけだし。これじゃ誰だって怒るだろ。それに湊ママは「話せばわかる人」みたいだからちゃんと会話してればこんなことにならなかったのでは?
モンペ(モンスターペアレンツ)って「じゃぁ、私の教育が間違っていたというのか!」という子供の為というよりは自分が否定されたと思って怒っているのだから埒が明かないけど湊ママはそんなタイプでもなさそうだし。
それに早織(安藤サクラ)さんよう。いくらイラっとしても「あなたは人間?」と言っちゃダメだろ。国会答弁だってそんな言葉でないよ。
★
この作品はある程度ネタバレしなきゃ語れないな。一筋縄ではいかぬ映画でした。白黒はっきりつけたがるハリウッド映画じゃないから「なんでこの人はこんな行動するの?」ばかりだしいくら曖昧好きな日本人でもアレやねぇ(実際、ようつべのコメでも「嫌い」あったし)。
あのラストはハッピーエンドかバッドエンドか見る人によって意見分かれるもんな。
そんな星川君より僕と踊りませんか?
( ゚д゚)ノ ジャ、マタ!♪