そんなことより僕と踊りませんか?

例えば良い物語があってそれを伝える相手がいる。それだけで人生は捨てたもんじゃない(by『海の上のピアニスト』)

【午前十時の映画祭】無法松の一生(1943年)。

本編上映前のオマケで解説付き短編上映を見たのですがね。泣いた。内務省の検閲に引っかかり戦後にもGHQに難癖付けられカットされた経緯があるとは。

 

あまりにもバンツマが不憫で‥

みんな戦争が悪いんや!

 

本編見たけど大事な部分がカットされてるためか「なんでこうなった」感が否めない。それにしてもバンツマの格好良さ、園井恵子の綺麗さときたら。長門裕之が若かった(というか子供やんか。面影あるかなぁ?女の子とは違い男の子は成人すると顔つき変るからなぁ)。

昭和18年版は、内務省の検閲でいくつかのシーンがカットされたことでも知られる。
「人力車夫が軍人の未亡人に思いを寄せるなど、ケシカラン」という理由だったらしい。

戦後になると、今度はGHQ連合国軍総司令部)の命令によって、学生の乱闘シーンなどがカットされた。
暴力は民主主義にヨロシクナイとされたという。

つまり昭和18年版は、当局の都合でズタズタにされた映画だった。
稲垣監督の無念さは、いかばかりだっただろう。

北九州キネマ紀行【小倉編】無法松は時空を超えてよみがえる〜映画「無法松の一生」|前田 岳郁|note

まさにソレ。みんな戦争が悪いんや!(大切な事なんで二度言いました)あまりの不条理さに涙無くては見られない。

 

なお、余談ということになるが、「無法松の一生」が検閲を受けた昭和十七年に徳田秋聲の「縮図」が検閲を受け、作品は未完で終わったが、その「縮図」の冒頭に銀座の資生堂バーラーで、人力車が並んでいるのを見て、明治の遺物が復活していると皮肉っている(レイワの時代にも復活しているけど……)。そう、「無法松の一生」は明治時代の話なんだ。運動会のシーンもいかにも明治時代を偲ばせる風俗だ。少なくとも昭和十七年ではない。ここら辺りの時代感覚稲垣浩が戦後も維持しているかどうか……戦後版の「無法松の一生」に食指がのびないのは、その辺に不信があるからだ。

『無法松の一生』を見て驚いたこと|南原四郎|note

ああ、そうか。時代設定は明治かぁ。そういや髪を結っている婦人多いし道も舗装されていないし(昭和初期だったら少しは綺麗だったろうに)。それに運動会の棒倒し(調べたら棒倒しや騎馬戦は明治時代に誕生したそうです)。

 

それよりもだ。同タイトルの演歌があるのでてっきり時代劇かと勘違いしちゃったよ。タイトル自体が「ザ・演歌」という感じだし。偏見デシタ(ごめんなさい)。そういえば映画タイトルの演歌もあるよなぁ(『飢餓海峡』『天城越え』なんかあるし。でも時代劇のイメージないよね)。

 

 

無法松の一生』のシナリオを書いた伊丹万作さんは伊丹十三監督のお父さんだとか。才能は遺伝するもんなんだな。

ごぜじゅう企画では次回の作品はリメイク版(1958年)を上映するみたいで。主演が三船敏郎かぁ。若い頃のミフネは野生児を演じたら天下一品だからな。この2作はどちらも人気高いみたいで。ちと楽しみ。