そんなことより僕と踊りませんか?

例えば良い物語があってそれを伝える相手がいる。それだけで人生は捨てたもんじゃない(by『海の上のピアニスト』)

いつも何度でも優しさに溢れている『千と千尋の神隠し』。


いつも何度でも / 木村弓

 

 ジブリはこの作品だけリピーターになったしDVDも所有しとります。くぅ~何度見てもいいねぇ。ま、単に時間の関係で見たのですがヲイ

 

普通、湯婆婆と千尋ほどに立場・権力・身体能力の差があれば、坊をなだめ終わった湯婆婆が「さっきはああ言ったけど、あれはさ、勢いっていうかさ、まぁ勘弁してよ」とか言ってごまかすことは容易なはずです。なのに妙に律儀に言ったことを守り、雇用契約書を取り出して千尋にサインさせます。

『千と千尋の神隠し』の「魔女の契約印」が何なのかようやく理解した - 旅するトナカイ

 そうそう。湯婆婆って成金趣味で嫌な奴だけど雇用に際しては律儀なんだよな。結構従業員をこき使っているけど何やかや言いながらトラブルを対処してるし夜回りしてるしな。威張りん坊だけどさ。

 

せんちひのヴィラン(悪役)は湯婆婆で決まり!でもジブリなんで悪態付きながらもラストはちょっぴり応援してるように見えますが。

 

それよりも。岡田斗司夫さんのハクの解釈が面白かった。

岡田斗司夫の毎日ブロマガ「ハクの正体は●●!感動と怖さの両立『千と千尋の神隠し』完全解説」:岡田斗司夫ゼミからのお知らせ:岡田斗司夫ゼミ(岡田斗司夫) - ニコニコチャンネル:社会・言論

なるほろ。千尋のお兄さんだから「そなたを昔から知っている」だったのか。後半、龍になったハクに乗っているシーンで千尋が昔を思い出すんだけど子供の手が伸びてたからな(あれはお兄さんが妹を助けようとしてたのか)。

 

それでお母さんが千尋に冷たいのも納得。兄は千尋を助けようとして死んでしまったので千尋を憎んでいるわけではないが無意識のうちに目も合わせないという岡田斗司夫の解釈も納得。でもハク、自分の名前を「ニギハヤミコハクヌシ」と思い出しちゃったんだけどなぁ。

 

ま、ファンタジーやし。それはそれでいいか。トトロ都市伝説みたいや。

 

それはそれとしてですね。今更ストーリーを蒸し返すのもアレなので。ジブリの中でも特に登場キャラの愛とやさしさが突出しているのは『せんちひ』だと思うのです。

 

千尋

不思議な街に迷い込んだがハクという少年の優しさに触れて中盤から気の狂ったように活躍する女の子。ラピュタがパズーの成長物語ならせんちひは千尋の成長物語だな。

 

ハク

岡田斗司夫によれば千尋の死んだお兄さん。けど無理があるよな(どんなに隠したとしても10年も隠し通せるか?とも思うし)。元気になるおまじないで作ったおにぎりを食べさせるシーンが好き(「食え~」って。それは『鬼畜』か)。

 

千尋のお父さん

豚になる前は千尋を気にする優しいお父さん。モデルがいるとは知らなんだ(本作の制作担当である奥田誠治さんだとか)。良くも悪くも体育会系なノリだよね。千尋のモデルも彼の娘さん(千晶)だそうで。

 

千尋のお母さん

旦那には「きゃ」なんて抱き着くクセに娘にはわりとクール。千尋には目も合わせようとしないが「祠よ。神様の家」と質問に答えてくれる。娘に対する気遣いは普通。

 

湯婆婆

不思議な街のボス。和洋折衷なんでもござれな悪趣味の部屋に住んでるし意地汚いしハイカラじゃないけど坊を溺愛している。口汚いが従業員想いだしオクサレ様の件でも新人の千尋に「お客様に失礼なことをするんじゃない!」と手ほどきする経営者としては上出来な婆さん。

 

銭婆

湯婆婆の双子の姉。釜爺は「あの魔女は怖い」と言ったけど実は優しいおばあちゃん。物わかり良くて最終的に盗みを働いたハクも許す(千尋が謝りに来なければ許さなかったかも)。湯婆婆と違い最初にドアを開けてくれる。魔法でランタンに道案内させるなんて優しいなぁ(途中で立ち止まってくれるし)。

 

釜爺

油屋のボイラー室を仕切っている黒メガネをかけた老人。千尋を最初見たとき驚いた顔したが人間に対する差別意識は希薄で人間である千尋を見て騒ぐリンに「ワシの孫だ」と庇ったりする。傷ついたハクを介抱したり電車の切符をあげたり優しい。寝ている千尋に座布団を掛けるが毛布はないの?

 

リン

油屋で働いている娘。口調は荒っぽいがさっぱりした性格で偏見もなく湯屋の先輩としていろいろ面倒を見る。暴走したカオナシに「千になにかしたら許さないからな」と叫んでくれるよき理解者。

 

あまりの過保護ゆえに幽閉状態。世間を一切知らず我儘邦題だが千尋と銭婆の所へ一緒に行くうちに別な世界を知り帰るころには性格が丸くなる。坊も成長したのかも。それにしても神木きゅんジブリにしては珍しく3回もアテレコしてるよね。

 

カオナシ

陰の主役。エヴァのシンジ君みたいに暴走しちゃうがピュアなんだよね。生まれて初めて挨拶してくれた(気にかけてくれたと思ったのかも)千に一途なんだもの。モデルは米林昌弘とされているが鈴木敏夫による「後付け」らしいです。銭婆に引き留められたシーンは「ああ、カオナシ居場所が見つかってよかったね」と泣いた。

 

油屋の従業員ども

最初は人間である千尋を「ああ、臭い」とバカにしてたがラストでは千尋を応援していた。ほとんどの男衆はカエルで女衆はナメクジである。ハクやリンが人間に近い容姿なのは元々神様(の下っ端?)という設定だから。でも湯婆婆に名前とられちゃったから一生こき使われるな(リン、可哀そう)。

 

神々

八百万の神様。つか外人ガーに「ご飯粒にも神様が宿っている」というような概念わかるのかなぁ(日本独自だよね?)。個人的にはマンドラゴラの大根版みたいなおしら様が空気読んで千尋を最上階まで運んでくれたのが好き。あとオオトリ様(生まれてこなかったひよこの神様なんだって)かわいい。

 

 

菅原文太が亡くなったとき街頭インタビューで「釜爺の声の人」というのには少々ビックリ。高倉健の代表作は『幸せの黄色いハンカチ』か『鉄道員(ぽっぽや)』のどちらを選ぶかで世代が分かれたけど文太あにぃは『仁義なき戦い』一択やろ。