そんなことより僕と踊りませんか?

例えば良い物語があってそれを伝える相手がいる。それだけで人生は捨てたもんじゃない(by『海の上のピアニスト』)

【午前十時の映画祭】パリ、テキサス(1984年)。

てっきりパリからテキサス行くロードムービーかと思ってたら違った。山形県に新宿があるのと同じ理由か(新宿と書いて「あらじゅく」と読むけどね)。

 

『パリ、テキサス』考察とネタバレ!あらすじ・評価・感想・解説・レビュー | シネフィリー

ヴィム・ヴェンダース監督の代表作といえるロードムービーの傑作。全編に流れるライ・クーダ―の旋律が、旅愁をかき立てる。これを観て聖地巡礼する気にはならないが、切り取る夜空は最高密度の美しさだ。

雰囲気が堪らなく好き。ロードムービーなんだけど『バクダット・カフェ』に近いような。

 

それにナスターシャ・キンスキーの奇麗な事よ。「華がある」とはこういうことを指すのだなぁ。後半にやっと登場するのにこの存在感!

 

キャストが見事やわぁ。ハンター君ええ子やったし(久しぶりに会う父親との距離が微妙に近くなる演技なんざ自然で良いし)。

 

マジックミラーでお互いは見えないながらも電話で探りを入れる演出は見事だなぁ。第一回目の面談でジェーン(ナスターシャ・キンスキー)は薄々気づいてたんじゃないかな?

 

『パリ、テキサス』ネタバレ解説と感想 トラヴィスが選択した結末は?

パリ、テキサス』はニュー・ジャーマン・シネマの旗手と言われたドイツの名匠ヴィム・ヴェンダース監督によるアメリカを舞台にしたロードムービーです。長い間失踪していた男が見つかって、家族と再会し交流する姿が描かれています。

淡々としてるけど「なんかいい」のだよな。ごぜじゅう企画では次作が『ベルリン・天使の詩』(個人的にはこっちのほうが好き)だからヴェンダース祭りか。

 

ヴィム・ヴェンダースが本作を「アメリカ映画へのオマージュ」と語っている通り、作品全体にアメリカ映画への愛と皮肉が込められています。それは当時、商業主義のハリウッドが作れなくなった最もアメリカらしい映画をドイツ人が作ったことで、ハリウッドに衝撃を与える結果になりました。

愛だろ、愛。兄弟愛、家族愛、夫婦愛といっぱい詰まった作品でした。

 

 

それにしてもハンター君が生みの親か育ての親かどちらを選択したのか気になる。ハンター君がええ子なのは愛情持って育てられたから(劇中でもアンはハンターが戻ってこなくなるのではと心配しています)。