法廷モノは「ハズレ無し」だよねぇ。この作品はおフランス映画なので今まで見慣れてきたアメリカ版の裁判形式とは微妙に違って面白い。アメリカ版は判事がヅラをかぶって木づちを叩く印象強いがフランスはそんなことしないんだね。
ところ変わればという感じでしたな(フランス裁判は緩いよな)。
証人もラフな格好でアメリカだったら「裁判長!これは誘導尋問です」「却下します」なシーン多いんだけどフランスはそんなシーン少なくて証人と被告が口論しちゃうし裁判官はあまり咎めないし。フランス裁判は検事と弁護士がそれぞれのユニフォームあるんだね(アメリカ版はスーツなのに)。
それよりも。この作品ミステリぽいけどそれこそミスリードで犯人探しなんてないです。大どんでん返しを期待している人は当てが外れた感じでアレかと。
サンドラ「私は(旦那を)殺してない」
弁護士「問題はそこじゃない」
このシーンはCMでも使われてたけどまさにその通りなんですよ。おくさん。
ようつべで町山智浩さんの解説見たけど「この監督さんはミステリに興味がなさそうだ」言ってたな(過去作品を調べて共通点を見つけるとは流石映画評論家)。
ちょっとミスリードぽくて日本のポスターは
なんか『ファーゴ』に似てますな。コーエン兄弟だったらどう料理するんだろ?
フランス版は
このように違うのです。もちろん監督が意図しているのはこっちの和気あいあいと団欒している夫婦のほう。この夫婦がどう、転落していくかを描きたかったのかと考察。
主演のザンドラ・ヒュラ―はアネット・ベニングに少し似てると思ったな(なんとアネット・ベニングも主演女優賞にノミネートされていたんだね)。
最高に面白い!パルムドール受賞作『落下の解剖学』2月日本公開|シネマトゥデイ
スリリングな法廷ものという面白さにとどまらず、夫婦の社会・家庭での役割・犠牲などリアルな人間関係に切り込んだ奥深さが、今年のカンヌのコンペ部門でも傑出していた本作。主演のザンドラの目の覚めるような名演もすさまじく、『落下の解剖学』の名前は今後の映画賞レースでも何度も聞かれることになるだろう。
ドキュメントのような演出で観客までぐいぐいと引き込まれる。脚本が上手いよなぁ。それに主演のザンドラ・ヒュラーの演技力!冷静に対処していたはずがどんどんエスカレートして夫婦げんかに発展する様は「うまい。うますぎる」としか言えない。
この作品は本国フランスでも瞬く間に動員100万人超えのヒットになったとか。ベルギー映画『神様メール』が本国では『マッドマックス/怒りのデスロード』を超す大ヒットになったのと同じようなもんかw。
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それにしても。この裁判、日本じゃ絶対不起訴案件だよ。だって証言しかないんだもの。おフランスの裁判は温いなぁ。でも「そんなプライベートなことまでどこで入手したんだ」という検察のエグイやり方がちょっと怖かった。自分も裁判沙汰にならないよう気を付けます。