アリ・アスター監督の最新作を見ました。ネームバリューで客を呼べるようになったか知らんけど主演がホアキン・フェニックスですか。ホラーでオスカー俳優起用するなんて珍しい(ま、ヘレン・ミレンも『ウィンチェスターハウス アメリカで最も呪われた屋敷』でホラー初出演だったしな)。
アスター監督の長編第一作『ヘレディタリー/継承』のトニ・コレット(顔芸が凄かった)が俳優さんとしては一番有名だけど今作『ボーは恐れている』はオスカー俳優だもの。気合入っとる。ホアキン、演技上手いし。
映画の内容は・・登場人物、全員メンヘラ!(いや、森で出会った人たちは唯一まともだったな)。客を選ぶ作品だったな。途中で帰った人もいたしなぁ。エヴァのシンジ君「もうわけがわからないよ」状態だし。
ホラーというよりは笑えないコメディでした。
ようつべの映画評で「寸止めの気持ち悪さ」と言ってるのを見てちょっと納得w。もう全然展開が読めなくて脳がバグるどころかショート寸前。『マジカル・ガール』は着地点が凄くよかった(フィギュアスケートに例えると難易度の高い4回転半を軽くこなした感じ)けど似てるようで全然違うし。
とにかくいろんな作品のイイトコドリみたいだけど微妙なんですよ(アルジェントの『トラウマ/鮮血の叫び』ぽいけど全然違うし)。あと『少年は残酷な弓を射る』にも微妙に近いが全然違うし。なんかモヤモヤする。でもこういうの嫌いじゃないよ。
町山智浩さんがアリ・アスター監督インタビュー記事を映画秘宝に書いたけどそれでもまだ言い足りなくてようつべで解説してた。あれ、ユダヤ文学なのかぁ。旧約聖書やヨブ記の話までして・・
解説見るまで全然わかんないじゃねーか!
というかボーやママはユダヤ人という設定なのか。ユダヤ教の規律は物凄く厳しいので違反してないか「見張る」ということか。あの映画では普通なシーンでも結構規律に反しているみたい。というかそんな細かいことまで息が詰まるわ。
町山解説によると大抵のユダヤ人は規律を破っちゃうそうです(ワザとじゃないのに!)。神様、もうちょっと妥協しておくれよ。ま、ボーは神だけでなく全員恐れているのですが(特にママ)。
とにかく。ホアキンの演技が上手すぎる。『ジョーカー』とは似て非なる演技。流石オスカー俳優。あのオドオドした演技はホアキンじゃなきゃ務まらないだろうて(ファンタビのエディ・レッドメインもオドオドした演技してたけどニュートはメンヘラじゃなくて極度の人見知りだからなぁ)。
★
この映画は
- ホアキン・フェニックスの演技を堪能する
- アリ・アスター監督だからという理由でホラーを期待してはイケナイ
- 「映画はハッピーエンドでなきゃ」という脳内お花畑な人は見てはイケナイ
これを踏まえれば大丈夫かと(たぶん)。