「どうやってさよならを言ったらいいかわからない。言葉が思いつかない」
「何も言わなくていい」
『魅惑のオードリー特集』。オードリー様の作品は有名だからtohoシネマズさんは「客が呼べる!」と踏んだのか日に2回上映。ごぜじゅう企画は10時の回のみというのが多かったが。やったね!
日本じゃ大人気のオードリー様。でもアメリカじゃオードリーといえばヘプバーンじゃなくてキャサリンなんだって。彼女も演技達者だからなぁ。
鼻血が出るくらい有名な作品ですね。満足度が100パーではないのが「普通」評価もあったから(さすがに「悪い」はありませんね)。
この手の恋愛ものって結構王道なんだけどそれでも名作で未だに人気が衰えないのは脚本のなせる技。映画好きじゃないとちょっとわからないかと思いますが本当の脚本家はダルトン・トランボなのね。
第二次世界大戦終結後の東西対立の激化の中、後に「赤狩り(マッカーシズム)」と呼ばれる指導弾圧運動の最初の標的であるハリウッド映画界の著名人10人(いわゆるハリウッド・テン)の中に数えられ、1947年10月20日、反共キャンペーン下院非米活動委員会による第1回聴聞会に呼び出された。
要は「お前は共産主義者だろう。仲間の名前を言え。さもなくば・・」という公開リンチみたいなことされたのにも関わらず最後までチクらなかったという漢(おとこ)がトランボなのです。この『ローマの休日』は赤狩りの最中だったので自分の名前を出せず友達の名前(イアン・マクラレン・ハンター)を借りて発表したのです。
トランボに興味持った人はこちらもオススメ。
★★
『ローマの休日』は映画ファンでなくとも少なくとも一度は見たことある人多いでしょう。そのくらい有名なんで今更ストーリー説明しなくとも大丈夫だよね。
映画は脚本で決まるがヒット作と呼ばれるものには監督のネームバリューというのもあるのです。今のようにツイッター等のSNSが無い時代は監督で決めるというのもあるようで(選択肢が限られるわけやね)。この作品の監督さんであるウィリアム・ワイラーは「巨匠中の巨匠」とも呼ばれるほどの人らしく。
ウィリアム・ワイラーはドキュメンタリー、ヒューマンドラマ、サスペンス等結構たくさんのジャンルを手がけてますな。さすが巨匠!それに完璧主義者だそうです(黒澤明みたいだ)。
ジョー(グレゴリー・ペック)が偶然を装いアン(オードリー・ヘプバーン)に会うシーンでは3時間も費やしたそうです(なぜならスペイン広場の時計の時刻が場面ごとに変わっているから。ちなみにデジタルリマスター盤では修正されてるようです)。
それに映画会社側は当初アン王女役にエリザベス・テイラーをと考えていたそうで(監督はフランク・キャプラ!)。キャプラが高額な制作費を要求したため(そりゃそうだ。主演がリズだもの)ウィリアム・ワイラーに白羽の矢が立ったそうで。
で、ワイラーは完璧主義者なもんだから「ローマでロケを」と要求。そのためにカラーでなくモノクロ映画になったそうです。でもモノクロの方が味が出ていて良いよね(これはこれで成功かと)。主役にはジーン・シモンズの名前も挙がっていたが「主役はスターである必要はない」とワイラーが拒否。そしてスクリーンテストを経てオードリー様がアン王女役をゲットしたのだね。
もうオードリー様の魅力を十二分に引き出してます。さすが巨匠!さらに凄いのは当時無名の女優だったオードリー・ヘプバーンを一躍スターダムにのし上げたこと。グレゴリー・ペックも彼女の才能を認め自分と同等のクレジットを与えたことに同意したことです。それにアカデミー主演女優賞もゲットしたし。
★
くぅぅ!やはりオードリー様はおぢさまキラーや。
「12時に私はかぼちゃの馬車で姿を消すわ」なんて言われた日にゃぎゅっと抱きしめたくなるもの(ただしオードリー様に限る)。