そんなことより僕と踊りませんか?

例えば良い物語があってそれを伝える相手がいる。それだけで人生は捨てたもんじゃない(by『海の上のピアニスト』)

何度読み返しても湊かなえ『告白』は面白いや。

だいぶ前に。某NHKニュースで「本屋大賞」のことをやっていて。どうやら店員が選んだオススメの本だそうで。

本屋大賞

今年は『村上海賊の娘』和田竜(新潮社)ですと。そういや和田竜さんは『のぼうの城』の原作者だっけ。あれ、映画めっちゃ面白かった(野村萬斎の田楽踊りは必見!)から小説もかなり売れただろうて。平積みになってたし。

 

それはそれとして。湊かなえ『告白』は2009年本屋大賞に選ばれてたのだね。貧差で『のぼうの城』が2位。どちらも映画化されてるし凄い。調べたら毎年10位まで発表してあって2004~2013年まで100冊中25冊が映画化されとる(ドラマ化されたのも入れると数冊増し)。

 

さらに。映画化された『告白』は日本アカデミー賞(最優秀作品賞、最優秀監督賞、最優秀脚本賞、最優秀編集賞)という凄さ。ちなみにその年の日本アカデミー賞で俳優部門は『悪人』が総なめ(最優秀主演男優賞、最優秀主演女優賞、最優秀助演男優賞、最優秀主演女優賞)でした。

 

関係ないがブッキーを褒めちぎったサイトがあって。「たしかにブッキーも凄いが柄本明さん、樹木希林さんの演技も良かったですよね」とコメントしたら「そうかもしれませんが。でもブッキー最高!」とレスが。駄目だこいつ、ブッキーしか見とらん。ファンおそるべしw。

 

自分は映画があまりにも面白くて気に入ったら原作も読んでみることにしてるんです。原作が神がかり的に面白いから。これ、間違いなし(映画『スラムドッグ$ミリオネア』が面白くて面白くて原作を読んでみたら原作が神だったし)。

  

ま、そんなこたぁどーでもいい話なので。話を『告白』に戻しましょうか。映画は原作に忠実ですね(さすがにCM畑出身の監督さんなんで観客のツボを心得ている)。俳優さんチームは『悪人』勝ちでもクオリティの高さは『告白』チームの勝利だということがわかります。

 

ご存知のとおりこの小説は主な登場人物が5人と割と少なめ。それぞれの告白から成り立っています(主人公の森口悠子は告白だけどその他は独白に近いようなw)。それぞれのキャラが立っているのよ。なかなかいいこと言ってたり。ちょっと一部抜粋してみます。

 

森口悠子

よく、やりたいことが見つからないと言い訳しながら、いい歳をして家でぐだぐだしている人がいますが、やりたいことがすぐに見つかりそれに従事できる人なんてごくわずかです。それなら目の前にあることを精一杯こなしていけばいいのではないのでしょうか。

 

北原美月

やはり、どんな残忍な犯罪者に対しても裁判は必要なのではないか、と思うのです。それは決して犯罪者のためにではありません。裁判は世の中の凡人を勘違いさせ、暴走を食い止めるために必要だと思うのです。

 

直樹の母

私たちは、社会生活を送る上で、どこかに所属していたり、肩書きがあることにより安心感を得ているのではないかと思うのです。どこにも所属していない、何も肩書きがないということは、自分が社会の一員として存在していないのと同じことです。

 

下村 直樹

そんな僕を母さんは、親戚や近所の人たちに「優しい」と自慢する。「優しい」って何だろう。ボランティア活動をしているのならともかく、僕は「優しい」と言われたようなことをした覚えがない。褒めるところがないから仕方なく「優しい」という言葉でごまかしているのだ。

 

渡辺 修哉

こいつを殺してやろうか、と思った。殺意とは、一定の距離が必要な人間が、その境界線を踏み越えてきた時に生じるものだな、と思った。

 

 

そんな告白より僕と踊りませんか?

ではまた( ´ ▽ ` )ノ