そんなことより僕と踊りませんか?

例えば良い物語があってそれを伝える相手がいる。それだけで人生は捨てたもんじゃない(by『海の上のピアニスト』)

【TAR/ター】セクハラ、パワハラなんのその。だってカリスマなんだもの。

ケイト・ブランシェットの演技が凄かった。オーラが半端ねぇ。

 

TAR/ター - 映画情報・レビュー・評価・あらすじ | Filmarks映画

評価3.8ポイントで結構高め。

 

ケイト・ブランシェット主演『TAR/ター』第95回アカデミー賞で主要6部門ノミネート!日本公開は5月12日(金)に決定 | anemo

音楽界の頂点に上りつめたターだったが、襲い掛かる重圧と仕掛けられた陰謀によって、少しずつ心の闇が暴かれていく──。崇高なる芸術と、人間の欲望と狂気が、誰も聴いたことのない禁断の交響曲を奏でる驚愕のサイコスリラー。

という解説ですが。(-ω-;)ウーン微妙だなぁ。あってることには違いないが。

 

自分は映画レビュー書く時は「ネタバレなしでどれだけ伝わるか」をモットーにしてるのですが。この作品はある程度ネタバレしないと駄目ですな。そんなわけで核心には触れませんが思ったことをつらつらと。

 

予告編見る限りデミアン・チャゼル作品『セッション』のプロ版かと思ったのですよ(『セッション』の主人公は大学生なので)。フレッチャー先生を女性マエストロにしたような感じかな・・と。

 

フレッチャー先生はアメとムチを使い分けてたが(ムチ多かったけど)ターは怒鳴り散らさない代わりに狡猾にセクハラ、パワハラするので『真綿で首を締める』ような感じでジワジワ来る。相手のことを思って言ってるように見せかけてエコヒイキ。楽団も気づいてはいるが見てみぬふり。まるでイジメの火の粉がかからないように周りが黙ってるかのよう。

 

だって神に逆らったら天罰が下るもの。そんな嫌な空気。

 

頭空っぽにして楽しめる作品ではないので変な汗出ます。初見ではちと難解っぽい。音楽の知識あったら会話も楽しめたかな。『カメ止め』顔負けの初っ端からエンドクレジットで「ええっ!?」となるのですが。席を立たないでください。

 

冒頭の対談シーンでリディア・ターがどんだけ凄い人なのかわかります。もはや『神』ですな。彼女の会話で「ああ、この人頭がいいんだな」とわかるし。ウィットに飛んだユーモアだってお手の物。だって神なんですもの。時間の流れを変えるなんてジョジョのボスキャラしかできないよ。

 

頭がいいうえに陰湿。一筋縄ではいかない性格や。それにプロデュース力に長けていたからトップにまで登り詰めていたんだろうなぁ。ジブリ宮崎駿も天才だけど鈴木敏夫のプロデュース力が無かったら「オタクに大人気のアニメーター」止まりだったのではないかと(鈴木敏夫が本格的にプロデュースし始めたのは『おもひでぽろぽろ』から)。

 

デヴィ夫人がAKBのことを「あんなに宣伝してりゃ売れるの当たり前」と言ってたように今の時代プロデュース力も大事なんですよ。秋元康のアコギ商売も半端ないし。

 

最近は映画を見るとようつべで映画評を確認しますが。この『TAR/ター』も人気ですな。町山智浩さんの映画評で

 

「彼女はオヤジじゃん」というの笑った。もともと男性マエストロの話になるはずがトッド・フィリップス監督が「ケイト・ブランシェット使っていい?」となりこうなったとか。監督の視点が素晴らしいよね。

 

 

後半のホラー演出もジワジワ来る。ちゃんと解決せずに突き放すところなんかキューブリックぽい(ぢつはトッド監督、キューブリックの遺作『アイズ・シャット・ワイズ』に出演したことあったそうで)。