格好いいとはこういうことさ。
勝新太郎の代表作ともいえる『座頭市物語』。その第一作目をごぜじゅう企画でやったので見ました。シリーズものって一作目が力入ってるから映画スタッフの心意気も半端ない(だいたい続編で劣化しちゃうのはスポンサーが付いてお金をかけられるようになったからですね。制約あるだろうし)。
勝新太郎はデビュー当初、二枚目路線で売り出したがなかなか芽が出なかったようです。1960年(昭和36年)の『不知火検校』(しらぬいけんぎょう)でダーク・ヒーローを演じたのが転換期。それがスマッシュヒットしたので『座頭市物語』に発展させたそうです。
勝新は石原裕次郎や加山雄三のような海が似合うイメージじゃないからダーク・ヒーロー路線に変更したのは大映さんグッジョブやでぇ。ちなみに大映倒産後も勝プロダクション制作でテレビシリーズも手がけました。そんだけ思い入れある作品なんだね。
こりゃ、玉緒が惚れるわけだわ。ちなみに『不知火検校』で共演(大映時代に知り合ったというからコレがきっかけかも)。
この作品では市(勝新太郎)のキャラが良いな~と思った。はまり役すぎるわ。
そんな感じがしたな。世が世なら理想の上司に成り得るかも。盲目というキャラなせいか喜怒哀楽に乏しいというわけではないがラストの決闘でプルプル喉元を震わせながらはらはらと涙を流すシーンは流石だ。
こりゃ、玉緒が惚れるわけだわ。大切な事なんで二回言いましたw。
今作はストーリーや演出だけでなく敵キャラでもある平手造酒(ひらてみき)役の天地茂が良い!「病人で浪人という役柄は彼しかいない!」というようなハマりっぷり。ひょんなことから市と仲良くなります。お互いを尊敬しあうような間柄になるが用心棒故に斬らなければならないという矛盾。ああ、無常。
市が厄介になっている飯岡の親分は厭な奴だけど「俺の頼みも聞かない。何かしら理屈こねてはぐらかしやがる」と激おこなのもわかる気もする(だって親分は用心棒として居候させてるわけだし)。でも親分、クズだからヨシ!
やはりラストの決闘と親分たちに目をひん剥いて激昂するシーンは「勝新かっこええ!」としか言いようがない。
こりゃ、玉緒が惚れるわけだわ。ちなみに勝新太郎の猛烈求愛だそうです。大映側も二人の仲を認めざるを得なくなったそうで。
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ごぜじゅう企画ではカラーだったが(そうか。なんかカラーにしては妙だなという違和感はそこか)。ちなみに邦画がカラーになったのは『カルメン故郷に帰る』(1951年)からです。