そんなことより僕と踊りませんか?

例えば良い物語があってそれを伝える相手がいる。それだけで人生は捨てたもんじゃない(by『海の上のピアニスト』)

【関心領域】むしろ関心あるのは観客だった。

昔、「玄関開けたら2分でごはん」というCMあったが。玄関開けたら目の前がアウシュビッツとは嫌すぎる。

 

てっきり立ち退き命令出ても無視し続けていたらアウシュビッツが建築されてしまった設定だと思ったら微妙に違いました。それも嫌だろ。

 

無関心ではいられない。

A24はホラーだけでなくセンスある作品ばかり排出するよなぁ。アリ・アスター作品みたいに「つかみはオッケー」でした。音響がかなりポイントなので神経を研ぎ澄ませないとアレ。逆に疲れる。

 

ホロコースト映画は数あれどジャーマン目線の作品は珍しく且つ所長家族の日常(しかも強制収容所が目の前)という設定はレアもの。自分はカンヌ映画祭のグランプリ、アカデミー国際長編映画賞よりも『関心領域』というまんまなタイトルに惹かれましたが(タイトルで既にネタバレしてるんだけどね)。

 

えらい重低音かと思ったら不協和音だったりかすかな悲鳴だったり銃声だったり「こんなんが毎日だったら気が狂うよな」と思ったのは自分だけではないはず。絶対に「住めば都」にならないよな。事故物件も嫌だけど同じくらい嫌。

 

そんな日常なものだから登場人物もどこか破綻している。ルドルフ(クリスティアン・フリーデル)も寡黙ながらも「どう効率よく荷を焼却できるか」考えてるしヘートヴィヒ(ザンドラー・ヒュラー)もいつもそわそわして落ち着きないし旦那の昇進を喜ぶどころか「今の生活を手放したくない!」と怒る始末だし。子供たちだってどこか変。飼っている犬も落ち着きないし。

 

違和感ありまくりな家族だった。五感って結構大事なんだな(特にこの作品では「聴覚」)。じわじわと真綿で首を絞められるような感覚。ストーリー中盤にヘートヴィヒのお母さんが泊まりに来ますが逃げ出すのも納得しかない。

 

この作品ってほとんどが固定カメラで映してるのでまるでドキュメンタリー映画みたいな感じでした。監督わざとでしょ。本当に「引き」が多い。ちょっと気になるのは遅く帰ってきたルドルフが部屋中の電気を消しまくっていたシーン。家政婦もいるのになぜ誰も消さない?「ホロコーストも終了する」という暗喩?

 

もう説明が一切なくて淡々と家族の日常を描いているだけなので解説が必要だよ(でも決して難解ではない)。ようつべで何回も解説動画見ちゃったな。

 

 

「恐怖」よりも「(見えない)恐ろしさ」がビンビン伝わってきたな。「時代が悪い」「戦争が悪い」だけじゃ済まないよなぁ。所長側からすれば「職務を全うしている」のだから。

 

「周りは真っ暗で自分たちの庭しか見えない」というポスターは今の「SNSで自分の関心のあるものしか見えない」とそう変わらないよね。「臭いものに蓋」みたいな。