そんなことより僕と踊りませんか?

例えば良い物語があってそれを伝える相手がいる。それだけで人生は捨てたもんじゃない(by『海の上のピアニスト』)

トリュフォーの思春期。

大人じゃないし子供じゃない。そんな年頃をレモンエイジと呼ぶのです!
すっぱいよ。苦いよ。ちょっぴり危険だよ。でもレモンたちは幸せ いきいき!

このコピーが秀逸。これを考えた人うまいなぁ。

 

coco.to

冒頭の子供らがワラワラ走ってるあたりから圧倒。尾道や長崎も真っ青なくらい急な坂道(走るより転がったほうが早いんじゃないの?)。というかよく家を建てたな。そこんとこ感心しちゃう。流石おフランス人は違う。「これは登下校シーンなのでは?登校かなぁ」と思ってたらビンゴ。

 

下町感むんむんでした。路地ばかりや。

 

ごぜじゅう企画でこないだ見たトリュフォーの『突然炎のごとく』はあんましノレず(良い作品ではあったが)。が、今回は違った!思うにトリュフォーって子供の扱いがうまいんじゃないのかなぁ。『トリュフォーの思春期』(原題は『L'Argent de poche』で直訳するとお小遣い)という原題も邦題もアレなんだが。ま、思春期のほうがグッとくるタイトルかな?

 

「これはすごい。名作だ。見ろ!絶対見ろ!」というわけでもなく。でもジワジワくる。嗚呼、なんかいいなぁ。子供たちの表情がいいのよ。でも『ニュー・シネマ・パラダイス』のようなイタリアの子供たちも捨てがたい。タイトル通り子供たちが主役なもんで各エピソードが面白い。クスクス笑えるようなのから「え?そ、それは・・」と言えるようなもんまで。

 

大まかなストーリー説明は子供たちに伝えてあるものの決まったセリフは用意してなかったそうです。子どもたちの「生の声」なのかぁ。トリュフォーやるな。冒頭の絵葉書を出す少女はトリュフォーの娘で彼自身も父親役で登場しています。

 

いつもは教育熱心な先生がジュリアンが親から虐待されていた事実を知った時に「わっ」と泣き出すのがジワジワくる。厳しいだけじゃないんだなぁ。

 

この作品は当時の風俗もわかってなかなか侮れない。劇中に流れる「日曜日は退屈」という曲が好きだなぁ。登場人物はみんな魅力的やし子供らが主役なんで学校や家(団地)付近しか移動しないんだけどそこがまた良い。

 

なんかホッコリする映画でした。

 

 

各エピソードは監督やスタッフの体験談、ニュース等(子供が手すりから落ちた話はホンモノ)を膨らましたのだそうな。だからジワジワくるんだね!