そんなことより僕と踊りませんか?

例えば良い物語があってそれを伝える相手がいる。それだけで人生は捨てたもんじゃない(by『海の上のピアニスト』)

どうやらフランキーという名の人は演技達者らしい。

リリフラ然りフランキー堺しかり。

 

幕末太陽傳』(ばくまつたいようでん、幕末太陽伝とも表記)は、川島雄三監督、フランキー堺主演により昭和32年(1957年7月14日に封切られた日本映画である。

ストーリーはオリジナルだが、落語居残り佐平次』から主人公を拝借し、『品川心中』『三枚起請』『お見立て』などを随所に散りばめ、その落語世界を幕末の志士たちが駆け抜ける特異な世界を作り上げている。会社の看板スターを脇役扱いにしたことや、幻となったラストシーン(後述)など逸話も多く、50年前の時代劇映画であるにもかかわらず年代を問わず観客の支持を得るカルト映画でもあり、平成11年(1999年)にキネマ旬報が行った「オールタイムベスト100日本映画編」では5位に入賞するなど、日本映画史上最高傑作の一つに挙げられる。

幕末太陽傳 - Wikipedia

 ごぜじゅう企画でデジタル修復版を鑑賞。うわぁ、面白いわぁ。これは名作!落語はそんなに知らないんだけどニヤニヤしっぱなし。脚本がいいんだなぁ。

 

いまじゃ主役クラスの人をチョイ役にしてそんなに有名でない俳優さんを主役に抜擢するというスタイルは当たり前のようにあるんだけど。当時としては画期的。というかスターだってプライドがあるでしょうに。映画会社のお偉いさんも怒るのは無理はないな。

 

しかし。映画製作側としては銀幕スターを主役にして一本作るよりは安上がり(なんせスターを拘束するよりはちょっとだけ出演してもらうだけだからギャラはそんなにかからないかと)。でもスターがまるまる出てないから客を呼べないというデメリットもあり。

 

で、この『幕末太陽傳』なのですが。さすがに石原裕次郎は準主役ながら二谷英明小林旭などそうそうたたる顔ぶれ。岡田真澄も出てますが若すぎてわかんなかったよ(つか若衆役なんだけどハーフという設定がにくいね)。幕末の武士を太陽族になぞってるタイトルなんてセンスある。

 

あれ?太陽族って金持ちのボンボンじゃなかったっけ?劇中の武士たちは宿代も払えない貧乏侍だったなぁw。

 

本当に脚本が良い!落語をベースにしているがオリジナルというのが凄い。テンポも良いしダラダラしていない。脇キャラも魅力的。フランキー堺は演技達者だなぁ(どうやらコメディアンやお笑いの人は”間”がわかっているから俳優としても成功するようです)。左幸子南田洋子の美しさといったら!時代考証も「お見事!」といった感じでしたな。

 

高杉晋作石原裕次郎)はカリスマ性あるなぁ。うん、裕次郎でピッタリかも。つか斬ろうとしすぎなんじゃw。居残り佐平次フランキー堺)が高杉に物怖じせず堂々と渡り合うシーンなんざ上手いねぇ。「居残りさん」は頭がいいな。頭が切れるというか。守銭奴なのが玉に瑕(なんで守銭奴なのか後半でわかります)。

 

確かにね。人を騙して金を取る行為は犯罪だしやってはいけないことです。でも「居残りさん」のキャラもあってなんとなく許せちゃう。それに佐平次は決して遊ぶ金欲しさで騙しているのじゃなくて自分が生き抜くために・・と知ったらなんだかジーンとくるのですよ(ラストなんか「頑張れぇ!」と応援したくなっちゃうもの)。

 

なかなか面白い作品でした。日活3周年の映画なのかぁ。

 

 

風と共に去りぬ』の第1部ラスト「神様、わたしは盗みをしたり人を殺しても決して飢えでは泣きません」というスカーレットの気性を表しているような台詞を思いだしちゃったよ。

そんなフランキーより僕と踊りませんか?

ではまた( ´ ▽ ` )ノ