そんなことより僕と踊りませんか?

例えば良い物語があってそれを伝える相手がいる。それだけで人生は捨てたもんじゃない(by『海の上のピアニスト』)

日本のいちばん長い日(1967年)。

原田誠監督の『日本のいちばん長い日』を見て。これは岡本喜八監督の同タイトルの作品リメイクだと知り。「オリジナル版、ごぜじゅう企画でやんないかなぁ~」と思ってたら。

 

キタ━(゚∀゚)━!

 

ごぜじゅう企画は今回が最後なんで嬉しい限り。セオリー通りに行けばリメイクはオリジナルを超えないのだが。『日本のいちばん長い日』は微妙にドロウ。正確には「一長一短だがやはりオリジナル版が良い」。感性は人それぞれですからねぇ。

 

原田版もなかなかよかったのですが陛下役の本木雅弘があまりにも色気ありすぎてアレだったのですよ(最初モッくんはオファーを断り続けていたのだが義理の母である樹木希林さんに背中を押されたとか)。

 

オリジナルの岡本版は陛下役に八代目松本幸四郎松たか子のおじいちゃん)ですよ。あまりにもオーラが違いすぎて。

 

「気品」という言葉は皇室の為にあるようなもんだから。「色気」よりも「上品さ」でしょうに。確かに本木雅弘も演技力あるし昭和天皇になりきってますが。

 

daichi76y.hatenablog.com

このサイトが詳しい。先ほどの陛下役。リメイク版では昭和天皇がゴリゴリ出ています。邦画全般、今までの昭和天皇は「チラ見」程度にしか出ていない演出が多かったそうで。原田誠監督が初挑戦した感じですか。それも良かったのですがやはり自分は後ろ姿だったり遠目からの演出だったりする陛下のほうが好きだなぁ。恐れ多くて。

 

そして。これほどまでに国民のことを考えてくれている陛下に涙。御前会議で「ポツダム宣言を受諾しよう」(本当は違うお言葉なのだが忘れちゃったんで)に閣僚たちが泣き崩れる姿にもらい泣き。リメイク版よりもオリジナルの方が「ガックシ感」がパネェと思ったな。

 

プロローグには戦争の被害を伝える多くの資料写真が差し込まれ、戦争の惨状を伝えようとする岡本の必死の努力が伝わってくる。会議を中心とした映画の中で、いかに戦争の狂気と悲惨さ、暴力性を折り込んでいくかが全編を通じたテーマになっているように思える。モノクロのフィルムを選択した理由は、血を流す演出の凄惨さを和らげるためだったかもしれないし、白黒の資料写真を自然に差し込むためだったかもしれない。

『日本のいちばん長い日』を見比べてみた - 汽水域 Ki-sui-iki

最初、「ドキュメンタリー?」とも思える演出で。そうするとリメイク原田版は「ドラマ」かな。オリジナル、リメイク共に8月14日~15日がメインの話なのですが。リメイク版は数ヶ月前からの演出で短いスパンのオリジナルとは微妙に違うのです。

 

それと。家族の描かれようがオリジナル版にはなかったです。リメイクは陛下と阿南惟幾鈴木貫太郎を主軸として話は進みますが「彼らの家族構成及び人となり」に踏み入れた感じです。実際、原田版を阿南の家族に見せたらお孫さんが「そうそう、これがおじいちゃまよ」と喜んだエピソードあり。

 

オリジナル版では阿南惟幾を演じた三船敏郎の孫がリメイク版で阿南の次男役で出ています。こういう演出もニクいねぇ。

 

cinema.ne.jp

オリジナル版よりもリメイク版の畑中少佐が何言ってるかわからなかったなぁ。軍事用語(?)ビシバシあっておまけに早口だし。オリジナル版の黒沢年雄も凄かったがリメイク畑中役の松坂桃李も良かったなぁ。狂ってた。ただただ唖然とするほどの狂いっぷり。だって「イケイケどんどん」で教育されたんだもの。ああなっちゃうのもわからなくもないが(でもクーデターはアカンて)。

 

正義とは一体なんぞや?とつくづく思った。

 

オリジナル版の俳優さんに天本英世さんいたんだね。若すぎやわ。クロサワ映画常連組の三船敏郎はもとより志村喬宮口精二加藤武加東大介も居たなぁ。井川比佐志もいたんだね。第一線で活躍している俳優さんもチョイ役多いなぁ。

 

★★

 

この『日本のいちばん長い日』。リメイク版も結構良かったのですがやはりオリジナルのファン多し。ちなみに興行成績はオリジナルが4億円でリメイク版が14億円。たぶんリメイクはイケメン俳優多かった(本木雅弘松坂桃李)のが原因かと。動機は不純でも若い子が見てくれるのでおぢさんとしては嬉しい限り。

 

日本人ならこれだけは押さえとけ!

 

それと関連する作品も見とけば尚よろし。自分のおすすめは。

 

coco.to

マッカーサー役にトミー君なので似ても似つかないのはご愛嬌w。取ってつけたように恋愛シーンあるけどアレ本当に取って付けただけだから(原作にはない)。マッカーサーらが皇居に出向き近衛兵と一触即発状態なところを意訳したシーンは「通訳さん、グッジョブやで!」と言いたくなったな。

 

 

coco.to

被爆者役の田中好子が後に癌で亡くなるなんてなんという皮肉(合掌)。釣り堀に来ていた仲間がひとりまたひとりと来なくなるシーンは胸が張り裂けそうになる。「正義の戦争より不正義の平和の方がマシ」というセリフはあまりにも重すぎる。

 

 

coco.to

8月3日(土)に某NHKで放送するそうです。地上波初登場や!能年ちゃんが大人の事情で「のん」に改名しちゃったけどNHKに帰ってくるぞ。つか『あまちゃん』でお世話になったんだからもっと仕事まわしたれよw。 

 

 

ごぜじゅう企画で見た『天国と地獄』の山崎努、『仁義なき戦い』の渡瀬恒彦もギラギラしてたけど今作の黒沢年男もギラギラしてたなぁ。つか暑苦しいわ。