かなりの満足度。スピルバーグって娯楽作品が強いイメージだけど本当は『シンドラーのリスト』みたいな骨太作品を撮りたかったのかもね。シンドラーはオスカー取ったしねw。
というよりも。スピルバーグは昔からオスカー狙いの映画を撮っていたのですよ。でも娯楽作に比べると「普通レベルなんで作品賞は遠いぞ」な感じで。娯楽作で小銭を稼いでその分、骨太な映画を撮っていたのです(『カラー・パープル』『太陽の帝国』とか)。でも自分が撮りたかった作品はあまり評価されず。
それと。昔はあまり同じ俳優を多用しないことで有名だったのです。たいていの映画監督さんにはお気に入りの俳優(ベッソンならジャン・レノ、バートンならジョニデというように)がいるのにスピルバーグはあまり多用しなかった。リチャード・ドレイファスくらいかなぁ。
なぜならギャラが上がるから。同じ俳優を何度も使うよりその浮いたギャラをSFXに使うのです。賢い主婦さんみたいですね。だからスピルバーグはあまり有名でない俳優さんを主役に使ったりするのです。有名でないといってもそこはエンタメ大国アメリカですから演技力はそこそこないとアレだけど。
でも『シンドラーのリスト』で待望のオスカーをゲットしてから同じ俳優を多用するようになるんだけどね。トム・クルーズもそのひとりでしょう(もともとトムも上昇志向の強い人だから気が合うのかな)。
★★
嗚呼、話がスピルバーグ本人のことになってしまった。映画レビューでしたねw。
これって脚本がコーエン兄弟だったのね。知らなかった。どうりで。なかなかユーモアも散りばめてあってグイグイと引き込まれる。
『ブリッジ・オブ・スパイ』(Bridge of Spies)は、スティーヴン・スピルバーグ監督、マット・チャーマン及びコーエン兄弟脚本による2015年のアメリカ合衆国の歴史・伝記・ドラマ・政治・アクション・戦争・スパイ・スリラー映画である。出演はトム・ハンクス、マーク・ライランス、エイミー・ライアン、アラン・アルダらであり、U-2撃墜事件でソ連の捕虜となったフランシス・ゲーリー・パワーズの解放のために動く弁護士のジェームス・ドノバン(ハンクス)が中心に描かれる[1]。
題名の『ブリッジ・オブ・スパイ』とはスパイ交換が行われたグリーニッケ橋を指す。
本当に巧い作りだと思いました。
映画はソ連のスパイであるアベル(マーク・ライランス)がFBIに逮捕されるシーンから始まります。もうドキドキ。007やイーサン・ハントじゃないどこにでもいるようなショボショボおぢさんがスパイだなんて!案外そんなもんだよねー。情報受け渡しがあんなんとは。ううむ。あれじゃわからないわな。
保険専門の弁護士ジェームズ・ドノバン(トム・ハンクス)が彼の弁護を引き受けることになるのですが。同じ弁護でも保険と人間とじゃ畑違いでしょーが。これは政府が裁判でアベルが死刑になるように仕向けたんだな・・と思いましたが。ところがどっこいドノバンは切れ者でアベルを死刑にするどころか判事にオフレコで「彼はきっと役に立つから」と終身刑にさせちゃった。
それからあーだこーだありまして。冷戦時代でありますから今度はアメリカが空軍のパイロットに偵察機を飛ばすよう指令するのですよ。で、空撮用の機材を積んだ戦闘機飛ばしてパシャパシャ写真撮っちゃうんです。それをソ連側が迎撃するのですがそのシーンだけでも結構すごい。それでパイロット、捕虜になっちゃうのですがね。
ドノバンが言ったことが本当になるとは。それで「スパイを交換だー」とドノバンが交渉に向かう羽目になるのですが。行く先はベルリン。ちょうどベルリンの壁が出来上がる頃なんで一般市民も兵隊さんもピリピリしているわけなんすよ。その空気感が凄い。巧いよなぁ~。あろうことか留学していたアメリカ人が捕まったりして。をいをい。ドノバンの仕事増やすなよー。
もともと面白かったのに拍車をかけるようなストーリー展開。ジェットコースター・実話。脚本が上手すぎだわ。さすがコーエン兄弟。一触即発なピリピリ感満載かと思いきや変にユーモアあるし。「これ、交渉失敗したらかなりヤヴァイよね」てな感じ。つか「壁に近づきすぎると射殺される」ってマジ勘弁して(/ω\*)
★
伏線が幾重にも散りばめられていてるのが素敵。ソ連のスパイが小道具に使ったアレをアメリカ側でも別な意味で使うとかベルリンでは壁を越えたら銃殺されるのにアメリカ本国では平気でよじ登っている子供らを対比させるとか。
そんなスパイより僕と踊りませんか?
ではまた( ´ ▽ ` )ノ