そんなことより僕と踊りませんか?

例えば良い物語があってそれを伝える相手がいる。それだけで人生は捨てたもんじゃない(by『海の上のピアニスト』)

椿三十郎。

coco.to

黒澤作品にしては珍しい続編。微妙なシリーズでw。

 

『用心棒』のヒットで東宝から「続編を」と依頼され以前オクラ入りになったシナリオを大幅に改変し三船敏郎を主役に抜擢させたそうな。だから微妙に続編なんだね。

 

それに名前がこの作品のキモなので『用心棒』を見てないと『椿三十郎』が続編とは気づかないだろうて。それに『用心棒』では名前を聞かれると辺りを見回し

「桑畑三十郎だ。もうすぐ四十郎だがな」言うシーンがあるけど『椿三十郎』では

椿三十郎だ。もうすぐ四十郎だがな」言うし。もう前作を知ってる者にとってファンサービスみたいでクスクスよw。

 

この作品は主役クラスは元より脇キャラが良い!脚本が良く出来てる。井坂伊織役の加山雄三が後の『赤ひげ』で主役に抜擢されたのは黒澤監督に気に入られたんだろうなぁ(それにしても加山雄三のヅラは似合いすぎや)。城代家老の睦田(伊藤雄之助)が最後にしか出てこないが「ああ、こういうのが良い上司なんだろうな」とわかります。

 

それに睦田婦人(入江たか子)と娘の千鳥(団令子)がお嬢様過ぎてワロタw。でもおとぼけキャラな睦田婦人は「人を見る目あるなぁ」と思ったし。

 

田中邦衛が出てたのね。いやぁ、昔から変わってないなぁ。加山雄三と互角なキャラなんでいっぱい出て喋ってます。てっきり『北の国から』の五郎さん喋りかと思いきや結構滑舌よくって。割と活躍してたな(でも黒澤作品でそれきりなのは監督の真似して怒られたからだそうで)。

 

『用心棒』より展開早くてビックリ。脚本がうますぎるからダレるシーンなんかないし三船敏郎や敵キャラの仲代達矢の格好良さにクラクラしますぜ。続編は劣化するのがセオリーだがこれは微妙な続編なんで大丈夫さ。くすくす笑えるシーンあるし殺陣は格好いいし「言うことなし」だな。

 

 

作品の象徴である「赤いツバキ」はモノクロ作品でどんな色にしたら赤く見えるか試行錯誤した結果、黒く塗りつぶしたんだってさ。赤い椿だけをカラーにすることも考えたが技術的には出来なかったんだって(翌年の『天国と地獄』で実現したが)。